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福井の今立に和紙漉きの人間国宝岩野市兵衛先生がいらっしゃる。作っている現場を訪問した。

人間国宝の九代目岩野市兵衛(いわのいちべえ)先生にお伺いしました

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先日、今立の岩野市兵衛先生の仕事場に見学に行きました。

国指定重要無形文化財保持者(俗に言う人間国宝と呼ばれています)の和紙職人さんで、和紙作りにかける思いはやお味噌作りの共通点はなにがあるのだろうか?と勉強させて頂きました。

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手漉き和紙の現状について

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一昔前までは和紙は有価証券(株券)で需要がありました。しかし、有価証券が電子化されるにあたって、和紙業界は斜陽、衰退期を迎える事になりました。

越前市は『越前和紙』と言いまして、良質な水から良質で丁寧な和紙が作られていました。

しかし、中国産の原料や100円ショップなどの台頭により、どんどん手漉き和紙は需要がなくなりました。

今は、300回の重ね刷りに耐えるとうたわれるほどの丈夫ささあるという利点から木版画用紙として使用されているのが現状です。

マルカワみそでは手作り味噌の表面を覆うモノを和紙を使ったらいいのでは?と思い、ネットショップで販売しております。

和紙は外国産の原料で、漂白&染色で作られているモノがほとんどですが、岩野市兵衛先生の和紙は国産楮(こうぞ)だけで漉かれている和紙です。

人間国宝って『威厳』とか『近寄りがたい』雰囲気がある方と思っていました

自分の勝手なイメージですが、人間国宝とかって、職人魂溢れるイメージがあって、非常に近寄りがたいイメージとか気に入らない壺などは割ってしまう!!そんな感じを勝手にイメージしていました。

しかし、そんな堅苦しいイメージは一掃されました。本当に肩の力が抜かれているような気楽で自然体な感じの方でした。

しかし、和紙作りのこだわりはものすごく、和紙の魅力やお話は非常にためになりました。

和紙を漉く前に、原料処理が一番大事

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上記の写真は和紙の原料でもある楮に黒い粒がないかどうか?を目視確認している写真です。

楮の黒い部分を取り除かないと和紙にした時に黒い斑点が生まれます。

簡略化するなら、漂白剤で漂白して、そのあと、染料で染めた方が簡単に作れます。

しかし、岩野市兵衛先生の和紙はそういうことはしません。

冬の冷たい時期でも手を突っ込んで、前屈みの同じ姿勢で選別をおこないます。

一回選別をしたあと、もう一度手選別を行います。

岩野市兵衛先生がおっしゃっていました。
『よく、若い人が和紙漉きに憧れています!とか伝統って大切なので守りたい!』とかよく修行させてくださいと訪ねられるそうです。

そしたら、こういうらしいです。『たしかに紙漉きに憧れがあるのはいいことやけど、毎日紙漉き出来るわけではないんやざ。紙漉きするまえに原料処理をしなあかんのやざ』と。

たいてい冬の冷たい水に手を突っ込んで同じ姿勢で選別していると、あまりの辛さに辞めてしまうようです。

『段取り8分』という言葉があるように紙漉きするのは週に2回あるかないか、その前の段階や準備が非常に大切なんだとおっしゃっていました。

良質な和紙には良質な原料が必要

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味噌作りにも非常に言えることですが、良い原料からは、良い商品というのは作れやすいです。お味噌も原料に助かっている部分は非常にあります。

和紙も同じ事がいえます。国産の楮などを使用しているのですが、これが年によって、非常に品質のばらつきがあるようです。

質の良くない原料から質のよい和紙は魔法じゃあるまいし、作ることが難しいようです。

満足いくモノ作りのためには商売道具が大切

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モノ作りの設備や道具、環境も時代の変化と共にどんどん変化していきました。

以前は、丁寧なモノ作りのための道具や職人さんがいました。

和紙漉きのために以前は原料を煮る釜をつくるレンガ職人や灰汁を中和する灰を販売する方、道具の手入れをしてくださる方などがいらっしゃいました。

しかし、今は、和紙を作る釜の周りを組んでくださるレンガ職人さんはいません。

大釜と薪でしていたモノ作りもボイラーの蒸気を入れて炊くようになりました。

ボイラーはすぐに温度が高くなるので、さじ加減が非常に大切だとおっしゃっていました。

昔ながらのモノ作りをしようと思うと、このような和紙だけでなく、いろんな産業が大切にされないといけないのだな…とつくづく感じました。

家族経営のモノ作り

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岩野市兵衛先生のところは、夫婦力を合わせてお仕事をされていました。息子様も家業を継がれていました。

マルカワみそと共通するところがあって、阿吽の呼吸で和紙作りをしていました。

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岩野市兵衛先生は『まわりは、人間国宝とかいいますけど、自分は名人ではない、和紙は未だに勉強しなあかん。』『死んだ親父がいつまでたっても、一年生と言っていたけど、本当にほやと感じますわ。』とおっしゃいました。

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モノ作りも一生勉強、一生一年生。そんな事を感じました。こういって、丈夫で良質な和紙ができるのだなと実感しました。
見学を受け入れてくださりありがとうございました。

そんな思いのこもった和紙はこちらから。

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