逆算思考に基づく損益計算書の算出方法について大切なたった一つのポイント。
- 2018/09/11
- 勉強になったこと
なぜ経営には経営計画書が必要なのだろうか?→経営は成長と安定の両立をしないといけないから。両立には数字と行動が大切。
画像引用 中小企業庁HPより
先日、利益計画書セミナ-に参加した時に、利益計画から算出する損益計算書の考え方を学びました。
勉強している入口税理士事務所さんは経営者には経営という独立した仕事がある。などいろんな事を教えてくださる税理士事務所さんです。ロケット理論という理論も入口税理士さんが教えてくださいました。
今回は逆算思考に基づく損益計算書の考え方をまとめていきます。
簡潔に申し上げますと売上からの設定ではなく、経常利益から逆算に基づいて考えるのがポイントです。無闇矢鱈にするのではなく、そこから足りないギャップや販売行動計画、会社の改善計画を立てるのです。
家計簿の考え方にも似ています。家計も貯蓄について真剣に考えるのであれば『収入-支出=貯蓄』ではなく『収入-貯蓄=支出』という考えでやるべきなのです。
会社の経営状態は外部環境と内部環境によって影響される。
会社を経営していると、会社の数字と状態は外部環境と内部環境が複雑に関わり合い成り立っています。
外部環境とはその商品の市場性や同業他社さんの傾向、法律や規制、日本や世界の経済状況等が挙げられます。
自社がある大きな力や影響力を持っているのであれば別ですが、そのほとんどが自社内だけではコントロールできません。
例えば、日本の少子高齢社会を食い止めるとか、消費税を今からなくすなどはできないですよね。それに対して仮説や対策をすることはコントロールできることですがね。
内部環境とは自社内の職場の基盤の事です。商品の品質、価格、サービス、技術力、設備、人材採用&育成、などなどです。この内部環境はほとんどが会社でコントロールできることです。
損益計算書の観点で大切な事は外部環境によって影響する数字と内部環境によって影響する数字があるという事なのです。
外部環境によって影響する損益計算書の数字
外部環境によって影響する数字の代表的な例は『売上』です。
『売上』は外部環境の影響をモロに受けます。
例えば、消費税の駆け込み需要や法規制によっての増減、10年ほど前のリーマンショックや自然災害によっての変動など挙げたらキリがありません。
この考え方が良い悪いという事ではないのですが、多くの経営者や会計士さんがまず、損益計算書で売上を設定しがちです。私も以前は売上から設定して来期は◯◯くらいの利益だなーと考えていました。
家計の考え方にすると『収入-支出=貯蓄』という考え方かも知れません。貯金できたらいいな。
内部環境によって影響する損益計算書の数字
内部環境によって影響するのは2つあります。
- い.未来経費
- ろ.一般経費(現在経費)
この中で大切になってくるのが未来経費なのです。
未来経費とは会社の未来を創っていくために必要なお金なのです。
ここを削除すると未来の種を蒔くことができず、先細りします。
勘定科目には、教育研修費、研究開発費、福利厚生費、広告宣伝費などがあります。人件費もここに含まれます。
売上や成果に即効性が無いので、パット見で無駄な経費かな?と捉えてしまうこともあります。闇雲にコストカットで未来経費削減をするのは得策ではありません。
現在経費の見直しを含めて総合的に判断しないといけないですね。
経営者の判断見極めが大切になります。
未来経費の項目全ては自分がコントロールできる部分になります。
この数字と考え方で会社の内部環境が決まります。
逆算思考の考え方ですと、まずこの未来経費を来期は(中長期は)どう管理するのか?というのが大切になります。
前職の時に上司と社長から『数字に意思を入れなさい』と教えられました。きっと『数字に意思を入れる』ことというのはこの数字だと感じました。
会社の求める経常利益を設定する
1番最初に設定する数字は経常利益を設定することです。
まずは利益をどのように設定するのか?というのが大切になります。
- い.年間借入返済額から(返済しないといけない金額)
- ろ.直近3期の利益実績から(トレンドから読み取る)
- は.一人あたりの従業員数から(従業員一人あたりの経常利益額(率)=仕事の質の設定)
- に.同業他社の利益水準から(TKCでしたらBASTから業界平均水準値が簡単に入手できる)
- ほ.総資産利益率(ROA)から(高収益企業なら6%が目安)
上記の6つの項目を加味しながら設定します。
経常利益額が設定できたら、あとは簡単です。順番に数字を組み立てていきます。まずは営業外損益などを加味していきます。
その後、内部環境の設定費用(販売費及び一般管理費)を設定して足していき、売上総利益率を設定して、その利益率で割ると今季の売上があぶり出されます。
大切なのは売上総利益率を何%に設定するのか?という事です。
そこから算出された売上や売上総利益と現在のギャップを埋めるためにどんな行動や営業を行っていくのか?と具体的になるのが今回の手法です。そのために月の販売計画や内部環境作りの行動計画などが洗いだされます。
また、皆様の会社の損益計算書をこのような形で設定すると楽しいかも知れませんね。今回の要点は1.コントロールできる内部環境と2.6つの視点からの経常利益額の設定、3.売上総利益率の設定になります。